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当教室の今村研介先生らの研究論文
“Endolysosomal iron-associated vesicular changes and ferroptosis-related vulnerability in VPS13A-knockdown cells”
が、国際学術誌 Molecular Biology Reports に掲載されました。
私たちの研究室では様々な精神神経疾患の病態解明を目的とした研究に取り組んでいます。
有棘赤血球舞踏病(Chorea-acanthocytosis:ChAc、VPS13A病)は、VPS13A遺伝子の異常によって発症する稀な神経変性疾患で、私たちのチームが原因遺伝子を特定しました。VPS13A遺伝子産物であるchoreinの欠損を特徴とし、舞踏運動などの不随意運動や精神症状などを呈しますが、神経細胞が障害される詳しいメカニズムについては、いまだ十分に解明されていません。
私たちはこれまで、VPS13A遺伝子の発現低下によって細胞内の鉄代謝に異常が生じ、脂質過酸化を特徴とする細胞死「フェロトーシス」が起こりやすくなる可能性について研究してきました。
今回の研究では、VPS13Aの発現を抑制した細胞を用いて、鉄代謝、脂質過酸化、エンドソーム・リソソーム系およびミトコンドリアの変化について検討しました。その結果、鉄代謝異常とエンドソーム・リソソーム系の変化が、フェロトーシスに関連した細胞傷害への脆弱性に関与している可能性が示されました。また、鉄キレート剤deferasiroxおよび抗酸化剤α-tocopherol(ビタミンE)が脂質過酸化を抑制することも確認されました。一方、deferasiroxでは特徴的な小胞性変化が認められ、鉄代謝と細胞内小器官との関係について、さらに検討する必要があることも示されました。
本研究成果を、今後のChAcをはじめとする神経変性疾患の病態解明および治療法の開発につなげていきたいと考えています。
《論文情報》
Endolysosomal iron-associated vesicular changes and ferroptosis-related vulnerability in VPS13A-knockdown cells.
Kensuke Imamura, Yoshiaki Nishizawa, Kazutaka Sainohira, Hitoshi Sakimoto, Yuka Urata, Natsuki Sasaki, Kaoru Arai, Hanae Hiwatashi, Izumi Yokoyama, Akira Sano, Masayuki Nakamura
Molecular Biology Reports, Aug 28;53(1):1471, 2026
DOI: 10.1007/s11033-026-12649-2